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岩井 保則; 山西 敏彦; 磯部 兼嗣; 西 正孝; 八木 敏明; 玉田 正男
Fusion Engineering and Design, 81(1-7), p.815 - 820, 2006/02
被引用回数:15 パーセンタイル:70.56(Nuclear Science & Technology)アルカリの添加なしに直接電解が可能な固体高分子電解法(SPE)は核融合で発生するトリチウム水の処理システム向け電解プロセスとして魅力的であるが、使用においては特にイオン交換膜の放射線耐久性を考慮する必要がある。市販イオン交換膜であるナフィオン膜の放射線耐久性を、原研高崎研究所のCo-60照射施設及び電子線加速器を用い、引っ張り強度,イオン交換能,電気伝導率,透過係数,単位重量あたりの溶解フッ素量等の観点から検証した。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を主鎖にスルホン酸基を側鎖に有するナフィオン膜は、浸水状態における線照射時の引っ張り強度の劣化挙動がPTFEの劣化挙動と大きく異なることを見いだした。イオン交換能の照射線量依存性はナフィオンの各グレードにおいてほぼ同様であった。いずれにせよ核融合実験炉ITERにおいてイオン交換膜に求められる積算照射量530kGyまでは問題となるまでの性能低下が起こらないことを見いだした。ナフィオンの放射線耐久性はその構造式から推定されるよりも高く、温度や照射線種などの影響を検証するとともに、ラジカル反応機構から雰囲気が与える影響を考察した。
武田 哲明; 岩月 仁*
JAERI-Research 2000-057, 17 Pages, 2001/01
高温工学試験研究炉(HTTR)に接続する水素製造システムでは、中間熱交換器や水蒸気改質器に使用される高温耐熱合金の水素同位体透過が重要な問題となる。本研究では水素と重水素の相互透過過程が金属管を透過する重水素量に及ぼす影響を調べることが目的である。実験の結果、相互透過における重水素透過量は重水素が単独で透過する場合に比べて減少した。また管外の水素分圧の増大に伴い、重水素透過率は減少した。同位体HDの生成と金属表面での原子分率を考慮した計算モデルを用いて重水素透過量を定量的に予測することができた。
武田 哲明; 岩月 仁*; 小川 益郎
日本機械学会2000年度年次大会講演論文集, 4, p.405 - 406, 2000/00
高温工学試験研究炉に接続する水素製造システムの技術開発においては、中間熱交換器や水蒸気改質器に使用される耐熱合金の水素同位体透過が重要な問題となる。本研究では、水素と重水素の相互透過が金属管を透過する重水素量に及ぼす影響を調べることが目的である。実験の結果、管内の重水素分圧が100Pa、管外の水素分圧が10kPa以下の場合、相互透過における重水素透過量は、重水素のみが透過する場合に比べて増加した。また水素分圧が10kPa以上の場合は、管外の水素分圧の増大に従い、重水素透過量は減少した。
武田 哲明; 岩月 仁*; 稲垣 嘉之; 小川 益郎
Proceedings of 7th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-7) (CD-ROM), 10 Pages, 1999/00
本研究は高温工学試験研究炉(HTTR)の水蒸気改質水素製造システムにおけるトリチウム・水素透過過程を調べるため、中間熱交換器伝熱管やその熱利用系として接続する水蒸気改質器触媒管として採用されるハステロイXR等の高温耐熱合金の水素及び重水素透過係数を取得するとともに、水素同位体透過量の低減が期待される水素同位体対向拡散による低減効果、酸化膜やコーディング等による低減効果等の定量評価を行うことを目的としている。本論文では、水素透過試験装置の概略と得られたハステロイXRの水素透過係数について報告した。試験の結果、ハステロイXRに対する水素透過係数の活性化エネルギーと頻度因子は、温度600C~850C、水素分圧差100Pa~410Paにおいて、活性化エネルギー:E=67.201.2kJ/mol,頻度因子:F=(9.972.15)10であった。また800Cで約140時間加熱後の水素透過係数は、活性化エネルギー:E=70.202.0kJ/mol,頻度因子:F=(4.740.4)10であり、活性化エネルギーは大きくなるが、水素透過係数は約1/2であった。
武田 哲明; 岩月 仁*; 稲垣 嘉之; 小川 益郎
JAERI-Tech 98-044, 34 Pages, 1998/11
日本原子力研究所では高温工学試験研究炉(HTTR)の建設を進めており、1998年中頃の初臨界を予定している。原子炉の性能試験、安全性実証試験に引き続き、天然ガスの水蒸気改質による水素製造システムを接続する予定であり、HTTR水素製造システムの安全性、制御性及び性能等を実証するための炉外実証試験と要素試験が計画されている。そこで、安全審査及び数値解析コード開発に資するため、水素透過試験を実施した。本研究では水素透過量の低減が期待される水素同位体対向拡散による低減効果、酸化膜等による低減効果等の定量評価を行うことを目的とし、ハステロイ等の高温耐熱合金の水素同位体透過係数を取得する。本報告書は、試験装置の概略と本装置を用いて得られた600C~850Cの高温条件下に対するハステロイXRの水素透過係数についてまとめたものである。
山口 武憲; 野口 宏
日本原子力学会誌, 39(11), p.940 - 941, 1997/00
核融合研究の進展に伴い、トリチウムの環境影響及び人体影響に対する関心が高まりつつある。本報告はトリチウムを摂取した個人のモニタリングに関して、トリチウムの化学形の違いとその生物学的半減期、体内のトリチウム濃度評価のための試料採取と測定法を紹介した。作業者のトリチウム防護技術に関しては、エアラインスーツに用いられている素材のトリチウム透過率や、諸外国において開発され、使用されているエアラインスーツの防護性能を紹介した。
林 巧; 奥野 健二
Materials for Advanced Energy Systems & Fission and Fusion Engineering '94, p.205 - 207, 1994/06
原研・TPLでは、ITER及び将来の核融合炉等大規模トリチウム格納室を必要とする施設にむけ、水素及び水蒸気に対して高い透過性能を有する気体分離膜を用いた新しいコンパクト・トリチウム格納,除去システムの研究開発を行っている。小型のポリイミド膜(気体分離膜)モジュール(有効面積~2m)を用いた予備試験では、(1)トリチウム汚染ガス処理流量を実質的に1桁以上減容できること,(2)室内の湿度が大部分をしめる水を通常の乾燥塔を通す前に直接回収できる可能性があること,(3)以上より、全体のトリチウム除去システムを十分小型化できることなどを確認した。現在、ITER-ADS(雰囲気トリチウム除去設備)の設計に向け、本格的な有効な気体分離膜の透過性能,対トリチウム耐久性等の確認とともに、スケールドモジュール(有効面積~40m)を用いたトリチウム分離特性試験を実施している。
吉田 浩; 清水 徳; 松田 祐二; 成瀬 雄二
JAERI-M 9677, 24 Pages, 1981/09
本研究は、核融合炉燃料循環系の水素精製工程にパラジウム膜法を適用することの可能性について検討することを目的としたものである。パラジウム膜としては工業的にも実用に至っているPd-25wt%Ag合金膜をとり上げ、水素ガスとしてはH、Dを用いた。実験より、この合金膜のH、Dに対する透過特性は比較的高い操作圧力・温度の下においてもSieverts則及びArrhenius則が成立することが確かめられ、透過係数と操作条件(圧力、温度)とを関係づける実験式が得られた。なお、透過係数、拡散係数において同位体効果が認められたので、これらについても圧力、温度との相関に係を求めた。
吉田 浩; 藤根 幸雄; 斎藤 恵一朗; 大内 操; 成瀬 雄二
JAERI-M 8374, 50 Pages, 1979/08
本法は、多孔質隔膜を装着した5段からなる工学的規模の方形カスケード実験装置を用いて実施したアルゴン同位体の分離に関するものである。ここでは、カスケードの基本的な運転方法の1つである全還流操作をとり上げ、カスケードおよび拡散筒の分離特性と操作条件との相関を調べた。本研究により以下のことが明らかになった。(1)実験に用いたアルミナ隔膜の細孔直径d、細孔長さl、迷宮度dは、それぞれ約400A、2000~2200および13~15(-)と推定された。(2)本隔膜の透過係数Qexpは供給流圧力Phの広い範囲(0.6~2kg/cmA)において一定であり、アルゴン同位体の分離過程がほぼ理想的なKnudsen流の条件に従うものであると推定された。(3)分離係数影響因子の評価法の1つとして、隔膜透過レイノルズ数(Re)bをパラメータとする次のような補正因子k=0.980-eを得た。(4)隔膜近傍における流れの効果Zの評価式としてガスの流速、物性値および隔膜の表面摩擦係数を関数とする実験式を得た。
成瀬 雄二; 吉田 浩
JAERI-M 7858, 75 Pages, 1978/09
多孔質隔膜法による気体の分離プラントを設計、運転するためには、種々の操作条件におけるカスケードの定常特性および非定常特性を十分に把握しなけれはならない。本報告書は、多孔質隔膜法に関する既往の研究を概観し、各理論における考え方、前提条件などを整理するとともに、実際の分離操作において想定される種々の分離特性の評価方法を検討したものである。すなわち、実際の隔膜、拡散筒における分離機構の解析法、種々のカスケードの設計法ならびに分離プラントのスタートアップと制御方式などの非定常問題の解析法について説明した。
成瀬 雄二; 吉田 浩; 藤根 幸雄; 松田 祐二; 清水 徳; 斎藤 恵一朗
JAERI-M 7275, 40 Pages, 1977/09
環境保全の観点から、再処理工場オフガス中のクリプトン分離-85の放出は、できるだけ少なく抑えることが望ましい。このために、液化蒸留法、溶媒吸収法、選択透過膜法など幾つかの方法が研究されている。多孔質隔膜法(ガス拡散法)により得られる分離係数は、一般に小さいが、無機多孔質隔膜の挿入された2分割型拡散筒の採用により、段分離係数をかなり改善することができた。カスケードの所要段数、濃度分布、隔膜面積、拡散筒寸法、圧縮機所要動力などについてクリプトン除去プラントの予備設計を行ったところ、カスケードの配置は非常にコンパクトにまとまり、操作も簡単であることが判明した。以上の研究により、多孔質隔膜法は、クリプトンの除去・回収法として、安全性および操作の容易さから可能性の高い技術の一つであることが明らかになった。